2024.11.5
施設の種類
介護福祉士
花井 敦由奈(はない あゆな)

グループホームとは?安心できる認知症ケアと暮らしを解説

施設の種類

グループホームとは「認知症の方におすすめの施設」

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)は、認知症の診断を受けた方が少人数の家庭的な雰囲気のなかで共同生活をおくることで、おだやかに暮らすための施設です。「認知症があってもなるべく自立した生活」を目指していて、認知症ケアの専門スタッフが24時間常駐しているので、必要に応じて身体介護や生活支援のサポートをうけられます。規模としては、1ユニット最大9名で暮らす形で、2~3ユニットのグループホームが多いです。入居者同士やスタッフとともに家事や作業・レクリエーションをおこなっていくことで、以前から持っていた能力や役割を維持したり、気持ちの安定を保つことにつながります。

障がい者向けのグループホームとは異なり、介護保険を利用して、認知症ケアに特化した施設となります。

グループホームの入居条件4つ

入居者が安心して暮らすことができたり適切なケアを受けることができるよう、グループホームにはいくつかの入居条件があります。そのなかで、おもな条件は以下の4つです。

・65歳以上で要支援2以上の介護認定を受けている

・認知症の診断を受けている

・グループホームがある町の住民票がある

・その他

●65歳以上で要支援2以上の介護認定を受けている

基本的に高齢者向けの施設であるグループホームでは、65歳以上であることが入居条件となっています。ただ「若年性認知症」「初老期認知症」と診断された場合は入居できることがあります。

要支援2~要介護5の認定を受けていることも入居条件であるため、自立~要支援1の方は入居できません。

●認知症の診断を受けている

グループホームは認知症の方専用の施設であるため、医師から「認知症の診断」を受ける必要があります。「日常的に物忘れがある」「なんだか認知症みたいだ」など、周りの人の判断だけでは条件を満たさないため、必ず受診をし、医師に診断してもらいましょう。

●グループホームがある町の住民票がある

グループホームは「地域密着型サービス(*1)」なので、施設がある町に住んでいる(住民票がある)方以外は利用できません。ただ、緊急に入居が必要な場合など「特別な事情」があり、施設のある市区町村に認められた場合には入居できるケースもあります。住民票を施設がある町に移せない事情がある場合は、行政に相談しましょう。

*1:地域密着型サービスとは、要介護状態や認知症になっても住み慣れた地域に根差したケアを受けられるよう、地域の介護サービスを受けられるものです。

●その他

入居前には健康診断や面談があり、「医療面で安定している」「感染症がない」「暴言や暴力がない」など、入居する方が安心して暮らしていけるか、他の入居者とトラブルがなさそうかなどの確認があります。身元引受人がいるか、利用料金等の支払い能力があるかも審査項目となります。

グループホームやその他老人ホームの入居要件と入居の流れは以下でも詳しく説明しています。

老人ホームに入るには?5つの条件と入居までの流れを事例と共に解説

グループホームでかかる費用

グループホームに入居する時に「入居一時金」や「保証金」がかかる場合があります。入居一時金はホームの居室・設備を利用する権利を得る費用で、金額は0〜100万円など幅広いです。保証金は退去時のクリーニング・修繕、家賃が滞納している時などに充てるものです。入居一時金や保証金の設定金額は施設によります。

予算は生活に関わる大事なことなので、パンフレットやホームページに載っている金額以外でも、施設に確認しましょう。

月々の費用

グループホームで月々かかる費用は、基本的に以下のとおりです。

・家賃

・食費

・光熱費

・共益費

・介護サービス費

・医療費(受診代、薬代)

・日用品費(オムツ代、理美容代、消耗品など)

介護サービス費は「身体介護(食事、排泄、入浴など)や生活支援(掃除、洗濯、調理など)、認知症ケア」への対価として支払うものです。介護保険を利用し、入居者の介護度と介護負担割合(1~3割)によって金額は月額で決められています。また、施設によっては「医療と連携体制を整えている」「夜間など人員を手厚く配置している」などの場合に加算費用が上乗せされることがあります。

医療費や日用品費についての内容・使用頻度については入居者によるので、金額が変動しやすい部分です。

グループホームやその他老人ホームで実際にかかる費用については、以下のコンテンツでも詳しく説明しています。

老人ホーム実際にかかる費用は?入居金と月額料金の相場を解説

グループホームのメリットとデメリット

グループホームを選択する時に大切なのは、施設に暮らす中でどのような特徴や生活ぶりになるかをイメージすることです。グループホームのメリットとデメリットを知ると、より鮮明に入居後のイメージができます。たとえば、少人数でアットホームな雰囲気の中で暮らすことができる反面、ほかの入居者やスタッフとの距離感が近くなりがちだったり、自分だけのペースで暮らすことが難しい場合もあります。メリットとデメリットを知り、入居前後のイメージのギャップを少なくしましょう。

グループホームのメリット

グループホームに入居するメリット例は以下のとおりです。

・専門的な認知症ケアが受けられる

・アットホームで落ち着いた暮らしができる

・有料老人ホームに比べて費用がおさえられる可能性が高い

・家族の負担を軽減できる

●専門的な認知症ケアが受けられる

認知症ケアの専門的な知識・技術を持ったスタッフのサポートを受けることにより、家事・作業・レクリエーションなどを通じて、認知症の進行をゆるやかにしたり、おだやかに暮らすことを目指しています。入居者の症状や能力に応じて、なるべく自立に向けた(無理のない)取り組みをしてくれるでしょう。

●アットホームで落ち着いた暮らしができる

少人数の共同生活であるため、一緒に過ごす時間が多くなっていくごとに入居者同士やスタッフとの信頼関係ができます。お互い見知った間柄になると、今まで暮らしていたのとは違う「もう1つの家」として、安心できる環境になっていくでしょう。

グループホームに入居するために他の町から転居してくる方もいますが、もともと施設がある地域に暮らしていた方にとっては「住み慣れた町」で生活し続けることでの安心感が得られます。

●有料老人ホームに比べると費用が抑えられる可能性が高い

同じ介護施設でも、グループホームは有料老人ホームに比べると月額利用料などが低い傾向にあります。これは、施設の規模・設備、人員の数、医療体制の有無などによりできる差です。グループホームも最初に支払い能力があるかの確認(預貯金、残高確認など)がありますが、総合的な出費も含めて他の施設と比べてみるのもよいでしょう。

●家族の負担を軽減できる

いくら家族とはいえ(家族だからこそ)、認知症ケアを担うのは大変なことです。日々の介護をしているなかでの身体的な負担、ストレスにより「介護うつ」になる方も多いというデータもあります。グループホームに入居することで家族とも良い距離感ができ、介護の負担から解放され、優しくなれたというケースはよくあることです。

介護をする側・受ける側の心をおだやかにするためにも、在宅介護が辛くなってきたら介護施設を利用することは大きなメリットです。

グループホームのデメリット

グループホームに入居するデメリット例は以下のとおりです。

・入居待機者が多い場合がある

・条件が合わないと入居できない

・医療対応が限られてしまう

・自由が制限されることがある

・人間関係のトラブル

●入居待機者が多い場合がある

グループホームは少人数制の施設であるため待機人数が多く、地域にもよりますが施設の数が少ない傾向にあります。特別養護老人ホームに比べると待機時間は少ないかもしれませんが、必要となったからすぐ入居といかないこともあります。なるべく早めに地域のグループホームを調べたり、仮申し込みをしておくと安心でしょう。

●条件が合わないと入居できない

入居するための「要支援2以上」「施設がある町の住民票がないといけない(地域密着型サービスであるため)」「医師に認知症と診断されている」という条件をクリアしなければならないので、誰でも入居できるわけではありません。

条件が合わずどうしたら良いかわからない時は、地域包括支援センターや担当のケアマネジャーに相談しましょう。

●医療対応が限られてしまう

グループホームには看護職員の配置が義務づけられていないため、看護職員の数が少ない施設では医療的なケアが限られてしまう可能性があります。認知症があり、かつ医療行為が必要な場合は、そのニーズに応えられる施設を選びましょう。看護職員の人員が充実していて提携医療機関との連携もしっかりとれ、看取りまで対応しているグループホームもあります。

施設のホームページで調べたり、見学時に「医療的なケアはどのくらいしてもらえるのか」を確認すると安心です。

●自由が制限されることがある

多くのグループホームでは、入居者の安全を守るために、1人での外出や外泊を制限しています。「買い物や散歩に好きな時に行きたい」という希望をかなえられない場合もあるでしょう。1日の過ごし方についてもある程度スケジュールを決めている施設では、少し窮屈に感じる可能性もあります。

●人間関係のトラブル

グループホームでは「少人数の密な人間関係」になりがちで、これはメリットにもデメリットにもなります。他入居者やスタッフとの見知った関係であるなかで、やはり「相性」というものがあります。大規模な介護施設では人間関係にトラブルがあると「フロア替え」「食堂の席を遠く離す」などの対応ができますが、グループホームではそういった調整がしづらいです。認知症の進行具合によっては「イヤなものはイヤ」とはっきり表現される方もいるので、トラブルに発展しそうな場合はスタッフも気をつけて対応します。

グループホームとその他老人ホームとの違いについては、以下のコンテンツで詳しく説明しています。

グループホームと老人ホームの違いとは?特徴や費用の違いを解説

グループホームのサービス内容~アクタガワが運営するハートフルホーム~

グループホームとは、先述の通り認知症の方が安心して過ごせる施設となっております。ここからはグループホームが提供するサービス内容について、アクタガワが運営する『ハートフルホーム』を参考にご紹介します。

アクタガワが運営するグループホーム『ハートフルホーム』は、静岡県内で11拠点を展開しています。小規模多機能型居宅介護と併設されていたり、デイサービス、居宅支援事業所と併設されている事業所もあります。また、グループホームのみの施設では2ユニット(18名)での運営を行ってます(開北・加島・島田東)。他のサービスを併設していることによりグループホーム以外のお客様とのふれあいもあるため、日々の生活が単調にならずに過ごすことができます。

手厚い介護で安心の毎日をサポート

グループホームは、1ユニット最大9名の少人数での生活が基本です。日中は常に2~3名の介護職員が配置されており、夜間も1名の職員が見守っているため、入居者一人ひとりに目が届きやすく、安心して過ごせる環境が整っています。

少人数のため、介護職員が入居者一人ひとりと深く関わり、きめ細やかなサポートができるのも特徴です。また、介護付き有料老人ホームでは、夜間は50名の入居者に対して2名の職員が対応するのに対し、グループホームでは9名の入居者に1名の職員が対応します。このため、グループホームではより手厚いケアを受けやすくなっています。

24時間の医療連携体制

グループホームでは、毎朝お客様の状態を確認するためにバイタルを測定しています。血圧、脈拍、体温を測り、日々の体調把握を行っています。

グループホームでは、医師や看護師の常駐は義務ではありませんが、医療機関と連携して入居者の健康をサポートすることが求められています。アクタガワのハートフルホームでも、各事業所に提携医がいて、月に2回、定期的に往診を行っています。この定期的な往診により、入居者の健康状態について医師と情報を共有でき、安心して日々の生活を送っていただける環境が整っています。

また、緊急時には提携医と連携することで迅速に対応し、必要に応じて病院への搬送をサポートしますので、安心してお過ごしいただけます。

医療との連携について

施設内のキッチンで調理し出来立ての食事を提供

グループホームとはグループホームには居室とは別に皆様でお過ごしいただける居間兼食堂のスペースとキッチンがあります。お客様の日々のお食事はキッチンにて作り、出来立てを提供しています。

グループホームは共同生活の場となっておりますので、職員のみで調理をするのではなく、お客様にもできる範囲で調理を手伝っていただいております。お客様の中には主婦を長くされていた方も多く、昔話をしながら手際よく調理してくださる方もいらっしゃいます。料理をすることで当時の記憶がよみがえることもあり、認知機能の維持にも効果的です。

沼津市にあるハートフルホーム開北では、ご入居されている方の娘様からの「母の作るクリームコロッケがすごくおいしいんです」という言葉をきっかけに、お客様とご一緒にクリームコロッケ作りを行いました。最初はなかなか調理の手順を思い出せないご様子でしたが、職員と手を動かしているうちに昔の記憶がよみがえってきたのか率先してクリームコロッケを作ってくださいました。

施設に入居すると今までの生活ができなくなると考えられる方も少なくはありませんが、グループホームに入居後も以前までの生活を大きく変えずに続けられるよう職員一同尽力しております。料理だけでなく洗濯などの家事もお客様とご一緒に行うことで、今まで行っていたことをそのまま継続できるように努めております。

ご紹介したハートフルホーム開北の記事は以下からご覧いただけます。

開北グループホーム I様のコロッケ作り(外部サイト)

専門職による個別のリハビリプログラム

グループホームとはアクタガワでは、人間の『生きがい』を追求し、生活の質の向上を目指す『生活リハビリ』に取り組んでいます。生活リハビリでは、お客様一人ひとりに合わせた個別の目標を設定しており、理学療法士や作業療法士といったリハビリ専門職が、それぞれの目標に基づいて個別のプログラムを作成します。

グループホームでは、日々の生活の中で介護職がリハビリ専門職の作成した個別プログラムに沿って生活リハビリを行っています。例えば『洗濯干し』も個別プログラムのひとつに含まれており、洗濯干しを行うことで上肢や肩の筋力を維持することができ、長時間立っていることで下肢筋力も維持・向上する効果が期待できます。プログラムはお客様ごとに異なりますが、日常生活の様々な場面で生活リハビリを取り入れた取り組みを行っています。

アクタガワのリハビリについて 詳しくはこちらで説明しています。

安心して入浴できる入浴設備

ハートフルホームでは、週に3度入浴があります。入浴の時間は職員と2人になるため普段口数が少ない方もお話してくださったり、昔話や言いづらいことを打ち明けてくださる方もいらっしゃり、入浴を楽しみにされる方も多くいらっしゃいます。また、入浴の時間には職員がさりげなく皮膚状態を観察し、異常がないかの確認もしています。認知症の方の場合、外傷や青あざができていてもどうしたか覚えていないという方もいらっしゃるため、職員が注意深く確認しています。

また、ハートフルホームの中でも開北・加島・島田東・藤枝青葉町にはリフト浴があるため、椅子に座りながら浴槽に浸かることが可能です。

施設での入浴について

毎日のレクリエーション・四季を感じるイベント

グループホームとはグループホームとはグループホームでは午後の時間にレクリエーションを行っています。おやつを作るおやつレクや、ゲーム、近隣の散歩などそれぞれの施設ごとに個性豊かなレクリエーションを行っています。

また、定期的に季節を感じるイベントを行っています。春は花見、夏はスイカ割り、秋は運動会、冬は書き初めなど、ハートフルホームでは季節感を大切にしています。

アクタガワのサービスでは『五感の生活』を大切にしています。五感の生活とは五感を使って感じる生活のことで、懐かしい日本のふるさとや、茶道を中心としたわびさびの世界をテーマにしています。五感を刺激することで昔の記憶が鮮明に蘇り、脳が活性化され認知症の予防や進行を遅らせる効果も期待できます。

四季折々の行事に触れることでお客様が昔の記憶を呼び起こし、精神的な安定感を得られると同時に、認知機能にも良い影響を与えられることが期待されています。

 

最期を安心して迎えられる看取りケアの提供

グループホームでは看取りも行っています。実際にハートフルホームにて最期を迎えられたお客様も多くいらっしゃいます。

看取り期になると職員が頻繁に居室を訪れ状態に変化がないか確認し、容態に変化があった際にはすぐに医師やご家族様に連絡を行います。看取り後はご家族様のご希望に応じて施設でのエンゼルケアも行っており、お客様が最期まで自分らしく過ごせるようサポートさせていただきます。

ただ、グループホームには医師と看護師の配置義務がないため、看取り期において医療行為が多くなってくるとグループホームでの対応が難しくなるケースもあります。そのため、万が一医療行為が増えてくると退去をお願いしなければならない可能性もあります。

老人ホームでの看取り介護 施設で行われるケアや流れについて解説

静岡で選ばれるアクタガワのグループホーム

アクタガワのグループホーム、ハートフルホームは『静岡で暮らす皆様に、住み慣れた街で一人ひとりのペースに合わせた安心ある暮らし』を提供しています。住み慣れた地域で、顔なじみのお客様や職員と一緒に過ごすことで安心して生活することができます。

単調な生活ではなく、毎日の中で行う生活リハビリやレクリエーション、四季を感じるイベントなど様々な行事を通してメリハリのある日々をお過ごしいただけます。

アクタガワが選ばれる理由について詳しくはこちら

グループホーム 入居までの流れ

グループホームに入居するまでには、いくつかのステップがあります。まずは、ご希望の条件を明確にした上で、適した施設を選びましょう。最初の一歩として、複数の施設から資料を取り寄せることをお勧めします。

グループホームの場合は入居要件として認知症の診断があること、65歳以上であること要支援2以上、住民票が施設の住所と同じ市内であること等が挙げられます。

資料を集めた後は、実際に施設を見学されることが大切です。複数の施設を訪問することで、わからない点や不明な点を解消し、納得のいく施設を選ぶことができます。見学後、希望の施設に申し込みを行いますが、満床の場合は仮申し込みとして受け付けられ、空室が出た際にご連絡を差し上げることになります。

入居が決定した後は、事前の面談を行い、必要に応じて体験入居を経て、ご本人やご家族様、施設側が入居可能と判断した段階で本契約へと進みます。

さらに詳しい入居までの流れは以下からご覧いただけます。

老人ホームに入るには?5つの条件と入居までの流れを事例と共に解説

困ったら入居相談の専門家に相談

老人ホーム探しは専門的な知識などがないと難しい部分や不明点が多くあると思います。施設入居に限らず、介護のことでお困りごとがありましたら専門家に相談することをお勧めします。ケアマネジャーに相談していただくのもひとつですが、アクタガワでは無料の介護相談も行っています。

介護の専門家が入居に関することだけでなく、介護保険の申請や在宅にて利用できる介護サービスについても介護のあらゆるお悩みにお答えします。ぜひお気軽にご連絡ください。

アクタガワのぺんぎん介護サポートセンター(外部リンク)

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花井 敦由奈(はない あゆな)

小規模多機能型居宅介護、デイサービス、訪問介護の現場に従事し、介護福祉士の資格を取得する。訪問介護ではサービス提供責任者として様々な在宅介護の現場を経験。お客様やご家族様とコミュニケーションを図りながらニーズを探り、ケアマネジャーと連携を取りながら様々なケースに対応してきた。